プリデスティネーション
http://www.imdb.com/title/tt2397535/


こっちのポスターの方がカッコいい。上がUSA版で、下が本国オーストラリア版のようです。
あまりに評判がいいのでノーマークだったんですが観に行きました。
タイムトラベルものと聞いていたので、予想していたムードがあったんですが(タイムトラベルする時のギミックとか)まったく関係ありませんでした。ただ、タイムトラベルものだっていう前提が必要だった。
ロバート A ハインラインの「輪廻の蛇」が原作だそうです。SF好きなんですけど、ハインラインは「夏への扉」で挫折して他は読んでいませんでした。短編なので、後で読もうと思います。→輪廻の蛇
フィズルボマーという爆弾魔を捕えようとするエージェント(時空警察)が、まさに時限爆弾を解除しようとしているところに邪魔が入って、失敗してしまうところから始まって、やけどして別の顔をくっつけたエージェント(イーサン ホーク)が、再び時間を遡ってバーテンとして潜入捜査していると、ちょっと場違い?な優男が店にやってきます。


全身やけどでお母さんが見ても、気がつかないや…という顔を移植。

バーテンイーサン、いかにも70s

前知識としてトランスジェンダーというキーワードを知っていたので、あ、この人がその人ね、と分かったんですが…。ディカプリオに似ているっていってる人も多いけど、わたしにはどうしてもジョディ フォスターにしか見えず…。
「未婚の母」というペンネームで「告白本」にストーリーを書いているというこのジョンがバーテンダーに乞われて「びっくりする話」を話し始めると、どんどん話に引き込まれていきます。
「わたしがまだ少女だった頃…」

動きが全くないのもアレなんで、ビリヤードもやったりします。

ビリヤードの後、席を移して仕事そっちのけで話を聞くイーサン。
ほとんど、この二人が狂言回しとして物語を語っていくんですが、案外退屈しないんですよ。
ジョンはジェーンという少女でした。ジェーンは赤子の時に孤児院の玄関に謎の男の手によって放置されます。そのまま孤児院で育つのですが…。

育って行くにつれ、自分がどこにも属していない感に苛まれ、自分は醜いと思い込み、更に厭世的になっていくのですが、ある日宇宙開発機関の人が孤児院に現れてスカウトされます。身体能力が優れていて、知能もずば抜けて高いから選ばれましたが…。



ミッションは宇宙飛行士の慰安婦ということでした。様々な訓練のうち上のシーンはすごく印象的。
でも、ここでも女子たちになじめなくて喧嘩をしてしまい、ミッションから外されます。外されて自暴自棄になりつつも、マナースクールに通ったりしている時に、ある男性と出会います。その男性と気が合いすぎるほど合いすぎて、初めて人を好きになります。


かわいいやん。
男性と初めて関係を持ち、身ごもりますが、男性はある夜、「すぐにもどってくる」と言っていなくなってしまいます。
1人で子供を産むことに決めて、帝王切開で産むんですが、術後の担当医の様子がおかしいんです。曰く、君はふたなりだったのですが、出産の影響で女子的な機関をすべて取り除いたので男にしました。そのうち慣れるよ。
勝手に男にされました。
しかも、赤子を盗まれてしまったのです。
ここで、一番切ないシーンがありましてね、泣きました。
男性として生きることになったジェーンはジョンと名前を変えて、レストランの厨房で割の合わない仕事をしていましたが、ある日告白本に出会って、自分の文才にも気がつきます。
相手の男を殺したいほど憎んでいる、というわけです。
じゃあ、その男を殺させてやるっていったらやる?とバーテンに聞かれて、何言っちゃってんの?と馬鹿にするんですが、そうは言っても殺したいでしょ?ということで、バーテンについて地下室へとおりていきます。まだ半信半疑。

こんなバイオリンケースみたいなものでタイムトラベル?笑っちゃうね…。
ここまでで充分普通に話が面白いんですけれども、ここから先、すべて伏線を回収していくんです。
途中から、SF慣れしている人はこれは…となると思うんです。でも、ちょっと思ってるのと違ってた。ふぁ?となる瞬間が何度かあります。
もともと原作は23ページの短編ということで、爆弾魔については原作にないんだそうです。でも、この映画においてはすごく大事な一本にまとめるキーになっています。イーサンが爆弾魔を執拗に追いかける心情(というか、ちょっとマニアック)も重要。
ジェーンをやったのはオーストラリアの女優さんでサラ スヌークっていう人なんですけど、この人がすごくよかったですね。もともと中性的なわけじゃなくてどっちかって言うと肉感的な人なのに、よく男性を演じられたと思います。
タイムマシーンものっていえば、タイムパラドックスですが、そもそもこの話、タイムパラドックスありきというか、そういう感じです。アクションが派手なわけでも、SFXがすごいわけでもないのだけど、とても面白い。

このバイオリンケースがいいですよね。えー?それ?みたいな。なんか銃的なものが出てくるのかと思いました。
あと、案外よかったのがこの局長(ノア テイラー)

ヴァンゲリスぽい音楽もよかったですよ(まあ、見た直後はもうすっかり忘れていたんですけど)(忘れてしまうみたいなんですね、わたし)
ユナイテッドシネマズ豊洲 スクリーン4 F列
豊洲久しぶりに行った。4DXのスクリーン以外は何も改装してなかった…がっかり。