私の中のあなた(2004)
邦題はおかしいと思います。これだと別の結末を想像するもんね。
スタッフ
監督・脚本: ニック・カサヴェテス原作: ジョディ・ピコー撮影: キャレブ・デシャネル衣装: シェイ・カンリフキャスト
他
(シネマトゥデイ)
一見幸せそうな家族ですが、いろいろ問題を抱えていました。お姉さんは血液のがんで、私は彼女を救うために遺伝子操作で生まれてきました。ある日、両親を相手に訴訟を起こすことにしました。
主人公であるところのアナちゃん(アビゲイル・ブレスリン)が、いい子すぎて可愛すぎるのが、とても現実とは思えませんが、実話だそうです。現実も可愛いかどうかは知りません。
お兄ちゃん(エヴァン・エリンソン)もいるのですが、失読症です。ママ(キャメロン・ディアス)が関心あるのは白血病のお姉ちゃん(ソフィア・ヴァジリーヴァ)だけのようです。お父さんは消防士で、この一家、おかしくなっているのはどうもお母さんだけのようなんです。お母さんの妹も、毎日通ってくれていて尽くしてくれているんですけど、この人もすごくいい人。当の本人、お姉ちゃんも本当にいい子なんですよ。そりゃあ思うようにならずにキレることもあるけれども。
いい人だらけなんだけど、お母さんはちょっとおかしいんです、娘が直ると信じて疑わない。
娘が自分は醜いから(化学療法で髪がないし)外に出て人にじろじろ見られたくないから外に出ないといえば、自分が坊主になってみせる。え?それ別にうれしいか?って思いましたね。そういうことじゃあないだろう。話としてはそのあと外出するから、お話し的には府に落ちてるのかもしれないけど。
お母さんがもともと敏腕弁護士であったというのも、訴訟の準備段階で分ります。キャリアを捨てて、子供の世話をしたという風にいわれていたんだけど、そういうことだったのか、という感じです。
アナちゃんがお金を集めて、訪ねていくのは、CMにもでている弁護士のところです。両親を訴えて移植手術をやめさせたいというのでした。
ところどころ、回想を挟みながら話は進んでいきます。こんなことがあったというのを思い出すとそれが話の本筋になっていくというような割とオーソドックスな回想シーンです。
その中でも、私が好きだわー、と思ったのが、お姉ちゃんの初恋です。マジ切ないよ。
まだ髪がある頃のお姉ちゃんとテイラー君がデート中
これはお姉ちゃんがスクラップブック(これも話を進めるために役に立っている)を作っていて、それを見ながら思いだしているシーンもあるんだけど、ちょいちょい出てくる。相手のテイラー君(トーマス・デッカー)というのが、いけてるんです。化学療法のせいで坊主で眉なしなんですけど、それに黒い服で完全にゴスっぽいんです。それでいて、誠実であって、なんか、ゴスやエモの女の子の憧れって感じです。実際に中の人がアイドルっぽい感じでもあるけれども(←サラ・コナークロニクルズのジョン役だったらしい)この子と出会えたのは、本当によかったですよね。
本当に、この家族の救いはお父さんだと思います。
お父さんがお母さんと同じようになってしまったり、お母さんと仲が悪くなって家に帰らないようになってしまったりしてたら、今頃完全に崩壊していると思います。でも、お父さんが、娘の声を聞いてやり、息子にも優しく接してあげる(決して威圧的ではなく、寄り添う感じなんですよ)のが素敵だなあと思ったわけです。もちろんお母さんにも優しくしてあげるし、ちゃんと寄り添っているんです、相当懐深いですよね。
現実はどうだったのか分らないけどさ。
実は訴訟をアナちゃんに頼んだのは、とうのお姉ちゃん本人なんですけど、これは最後の法廷のシーンで明かされます。この法廷のシーンはなかなかグッときます。
その敏腕弁護士のアレック・ボールドウィンもいいです。儲かるはずのない訴訟を引き受けてあげる、アナちゃん700ドルしか用意できていないのに。
弁護士さんと介助犬のわんこ(ジャッジって名前なの)
最終的には、みんなの願い?がかなった体になるので、これはハッピーエンドなんだと思います。原作と違う!とかいっている人もいるので、原作は違うんでしょうけど、つまり、現実とは違うんでしょうけど、お話しとしてはまとまっているし、いいと思います。
2014/08/14