裸足の季節

Mustang(2015 Deniz Gamze Ergüven)(ビターズエンド 2016年6月11日)

http://www.imdb.com/title/tt3966404/

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みずみずしく美しい少女たち

Mustangは音楽がアカデミー賞にノミネートされた時から気になっており(わたしは大変ニック ケイヴのファンであり、その相棒のウォレン エリス=奥様は岸恵子の娘さんが担当していたからです)公開されたら観に行こう!と思っていたら、実際に映画も大変評判がよろしいので、張り切って観に行きました。


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冒頭の海辺のシーンはキラキラして美しい。

そのシーンを特別悪いことをしていると思って見ていない者にとってはそのあとの展開は想像しにくいものでした。

家に帰れば折檻され、それも近所の人にふしだらなことをした告げ口された結果であり、その挙句に処女膜検査(!)をさせられるし。そこで医者が普通にしているところが、そういうことがよくあることであることを表しているんだろうし、問題なかったのに、外に出してもらえなくなり、花嫁修行をさせられ、外に出るときには地味なクソ色の服を着せられ、勝手に縁談を進められるのです。

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それでも、長女のソナイは主張ができる分、まだよかったと思う。抜け出して彼氏に会う。彼氏が道路に愛のメッセージを書く、縁談を拒否して彼氏と結婚することにするなど、ちゃっかりしてた。

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次女のセルマと三女のエジェはそれぞれ縁談を決められ、あっという間に結婚させられることになるんだけど、セルマはちょっとぼんやりしたところもあって、そこに救われるところもあるんだけど(とはいえ、結婚式でのひとりでつまらなそうにしている姿はかわいそうだし、人の飲み残しを飲みまくって涙を流したり、夫となるやつが本当つまらないやつでかわいそうである)、エジェはもっと精神的に脆くて結果として一番不幸なことになってしまう。徐々に壊れていく。叔父のエロルは、夜中にエジェの部屋に入っていく。この叔父が最低で、おばあちゃんにもやめなさいと叱られてはいるけれど。

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エジェを失った後も、四女のヌルに縁談がありまだ大人になっていないのに、おばあちゃんの頃はこの歳で結婚するのは当たり前だったみたいなことを言われて、結婚式になってしまうのだけど。そして、エジェの亡き後に今度は叔父は夜中にヌルの部屋に。

ラーレはとにかく活発で、思ったことは言うし、サッカーの試合を見に行ってしまうところとか、そこで知り合ったヤシンに車の運転の仕方を習ったり(そもそも車に乗って脱出しようとするとか)行動的で、一番現代的。この子が道を開いていくというのが、もっと大きな意味でも、この若い世代が世界を変えていく、いってほしいということが描かれているような気がした。

ヌルの結婚式の日に、ラーレは逆に家に立てこもり、そのあとヤシンの助けを借りて脱出するのだけど、そのときのヤシンの対応が素晴らしい。ヤシンは髪も長く、いわゆる新しい世代の男性の象徴であるとどこかで読んだのだけど、それにしても、本当にいい人だった。最初に出てきたときには面倒に巻き込まれたくないモードだったのだけどね。こういう古い因習にこだわらない男性も、変えていってくださいということかもしれぬ。

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終盤のバスでイスタンブールに向かうシーンにはまるで5姉妹全員で移動しているかのようなシーンが挟み込まれていて、なかなか感傷的な気分になる。冒頭で転勤になる先生がいたのだけれど、その先生のところに駆け込むのだけれど、最終的には助けてくれるのだろうか…この先生一人では難しいのではないだろうか…。完全に一件落着ではないあたりが、モヤっとはします。


2016/6/17 恵比寿ガーデンシネマ 1スクリーン H列