バース オブ ネイション

The Birth Of A Nation(2016 Nate Parker)(2017年予定 20世紀フォックス映画)

http://www.imdb.com/title/tt4196450/

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東京国際映画祭の特別招待作ということで、チケットが取れましたので観てきました。東京国際映画祭、あるのは知ってたけど、初めて観たのは去年という感じです。

早々にネタバレしております。気にならない人、映画祭で観たよ!という人はどうぞ。

アメリカの農場で奴隷の子供として生まれたナット ターナー(ネイト パーカー)が、やがて黒人の牧師となり、周囲の農場を回って説教をするようになり、その後に白人に対して決起するようになるというような話です。実話ベースだそう。

胸にあるしるしから、特別な子だと言われ、いつかリーダーになると言われていたナット。農場主の息子(サミュエル=アーミー ハマー)と仲が良く、奥様(エリザベス=ペネロペ アン ミラー)にも可愛がられていて、勉強をするように言われ、聖書を読まされていた。途中まではサミュエルととても仲良しで、まるで兄弟のように振舞っていて、売られていた女奴隷(チェリー=アヤ ナオミ キング)をナットが気に入って半ば買わせたような形になっていたし、そのシーンが来るまで、この二人はそうはいってもずっと仲良しなんだろうと思っていた。サミュエルはサミュエルで家が落ちぶれていくという問題を抱えていたし、ナットをダシに小銭を稼いで(どんどん単価が上がっていくのがなんとも…)いたとはいえ、ナットが白人に洗礼をしたことをきっかけに色々狂っていくところは、ああ…ダメなのか…。と残念な気持ちだった。

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本当に虐げられている同じ黒人を見て、自分は恵まれていると思っただろうし、エリザベスへの感謝はあっただろうけど、それでも洗礼事件以来サムとは険悪になっていたし、その最後に向かうひとつのきっかけをサムが作るのはすごく残念。エリザベスが最後まで善い人だったのは救いがあったような気がする。事実はどうだかわからないけれど。

結局思ったけれども、そもそも同じ人間を奴隷にしようなどと最初に考え出した奴が悪いのであるよなあ。それをずっと背負っていくのだろうなあ、アメリカという国は(他のヨーロッパやイギリスなどの事情はアメリカよりはマシなんだろうか)と思いました。

なんども映るどこまでも続く綿畑とか、霧のかかった朝日とか、深い色彩の夜の風景とか、映像も美しかった。けれど、エグい映像も結構多めで、アールの農場での奴隷の扱いが本当にひどくて、ちょっと目を背けたくなった。Strange Fruitsをバックに首をくくられた人たちが映るところとか、いろいろちょっと過剰かな…。とも思った。

ターナー家の執事は自分が恵まれているから、ことを荒立てて欲しくないという自己中心的な人だったけど、ある意味正解というかそうして生きていくのが妥当なのかも…でもなあ…などとこの人がいることで考えさせられた。サムの喉元の髭を切らせるシーンは喉元に大きい鋏を当てていて、この人に対する信頼でもあるし、サムはナメすぎじゃないのか…という気もした。

おばあちゃんが、よかったなあ。見た感じがすごくステレオタイプすぎてどうかとは思ったけど。

髪の色も髭の色も暗いブロンドのアーミー ハマーの助演も光るところがあったと思います。好きな俳優なのでね、贔屓目もあるかもしれませんけれども。

12 Years Of A Slaveのことを思い出したけど、描き方はだいぶ違います。

監督に対するゴシップとかあるようだけど、それと作品とは関係ないから、一緒にしないでほしいなあと思うし、それ関係ないから言わなくていいと思うな、発言力ある人は。

邦題はこれで決定なのかな?なぜ「ザ」と「ア」を抜くのか…

ナットに周囲の農場を説教して回らせて小銭を稼げと勧めた牧師が、Sons of Anarchyの人で、観ている間ずっと誰だか思い出せなくてモヤモヤしてた。

2016/11/2 TOHOシネマズ六本木 スクリーン7 H列(東京国際映画祭)