バットマン vs スーパーマン〜ジャスティスの誕生〜

Batman v Superman: Dawn of Justice(2016 Zack Snyder)(ワーナーブラザーズ映画 2016年3月25日)

http://www.imdb.com/title/tt2975590/

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このティーザーポスターが好き。

待ちに待ったバットマンVSスーパーマンです。

バットマンとスーパーマンが対決する。ってやつです。なんで?対決?それにしてもなんでジャスティス誕生しちゃうのかっていうね、邦題め。

映画としては、マン オブ スティールの続きです。そこで説明しているから、ほとんどスーパーマンについての説明はありません。観る前にマン オブ スティールを見るか、わからないところは見て補うことを激しくお勧めします。それから、ジャスティスリーグに繋げるための作品でもあるので、DCコミックのヒーローたちについて(うっすらでも)知っていると面白いかもです。

ザック スナイダーの監督作で、好きなのと嫌いなのがあるのですが、マン オブ スティールは嫌いじゃない(嫌いじゃなくなった)ので大丈夫かな…って思って楽しみにしてました。エンジェル ウォーズとウォッチメンは好きです。300シリーズはいまひとつ好きじゃないです。

筋を追ってネタばれしてるし、無駄に長い(まとまりがない)ので、鑑賞後に読んでください。世界同時公開だから絵がないし…(メディア出る頃につけたそう)(覚えてたら)


ブルース ウェイン(子供時代:Brandon Spink)の父母の葬儀から始まるこの作品は、結構難解。なんでも説明してくれるような映画とはまったく正反対で、何も説明してくれない。心情の説明もされないし(一人ぶつぶつ愚痴をこぼすフェロモン溢れるおっさんはいる)今のシーンはなんだったのかの説明もない。置き去りにされる人は結構最初からわー…(トーンダウン)ってなるような気がする。画面は全体的に暗いし、切り替えも早くてわかりにくい。

楽しいシーンとかほとんどないし、楽しいのかな?って思わせてくれるレックス ルーサー(ジェシー アイゼンバーグ)でさえも難解な性格で、決して楽しい奴じゃない、かなりやな奴だ。

クラーク(ヘンリー カヴィル)は相変わらず、人を救うことに対して疑問を持ち続けているし(ロイス(エイミー アダムス)を救うのは別)特に人間のお父さんに言われたことは、ずっと引っかかっている。ロイスとは相変わらずラブラブな様子(でも、ロイスはみんなのスーパーマンを独り占めすることに苦しくなっている)

2年前にスーパーマンが姿を現したことが対決の始まりです。ブルース(ベン アフレック)は、スーパーマン余計なことしやがって…っていうモードに入っているので、レックス ルーサーからなんとしてもクリプトナイトを奪って、俺がスーパーマン倒す!ってなってる。

アルフレッド(ジェレミー アイアンズ)が、全然おじいちゃんじゃないところも今回のバットマンの違いですかね…。おじいちゃんがかっこいい武器を次々出してくれるというよりは、職人気質のバディっていう感じ。全然現役。

ブルースがクリプトナイトを奪う!ってなってそっちに一生懸命になっている間も、スーパーマンは人を救っているんですよね。ブルースってば…。

何度かビジョンを見る(夢なんですけどね)んですけど、これが予告で流れたやつですよ。完全に騙された。夢か!みたいな。これは予知夢みたいなもので、別の未来を見ているんだとか。

レックスのパーティに出かけて、データを盗もうとしていたときも、一枚上手のダイアナ(=ワンダーウーマン、ガル ガドット)に阻まれて、ちょっとカッコ悪いんです。このとき、スーパーマンは、メキシコの火事で取り残された少女を救いに行ってたんですが…。スーパーマンは感謝されることに酔いしれるタイプではあると思うんですね。この時の表情が少し恍惚としていたような気も。

あのカーチェイスの時に、スーパーマンはクリプトナイトを追っていることをわかっていて止めたのかしら…それとも、分からず止めたのかしら…。あのシーンは、力の違いを見せつけられる気がして、ますますブルースを意固地にさせるよねえ。この時のカメラアングルとか、すごく好き。今日のところは許してやるって言ってるスーパーマンに対して、血を流させてやる…なんて言ってしまうバットマンもちょっとカッコ悪い。

そう、全体的にルックスじゃなくて、性格的にちょっとカッコ悪いんですよ、バットマンが。今までのバットマンて、お金持ちで、頭脳明晰で、女の子にもモテモテで、でもちょっと陰があるっていう感じだったと思うんだけど、もう人助け?を始めてから20年も経ってて、やってもやっても成果の出ない(犯罪者なんて雑草だって言ってる)ことにイラついてもいるし、そこに万能の神みたいなのが現れてしまったので、俺の存在意義みたいなのは?ってなって、かなり自己中心的なことになってる。

倒すとなった時の張り切りっぷりもすごくてですね、体は鍛えるし、アーマー作るし、クリプトナイトの煙幕作るし、クリプトナイトの槍を作るし。もう本当にそこに一直線。

レックスは、要するに世界を牛耳りたいのかな?この辺の描写とかないですよね?ある?見逃してるかもだけど、それにはとにかくスーパーマンが邪魔なんです。結果として、そのレックスに加担することになるのに、それがわからないバットマン、バカバカー!と思いながら観ます。

法廷に呼び出してみたり、そこを爆発させて責任を問うような方向に持って行ってみたり、ついでにめんどくさいフィンチ議員(ホリー ハンター)も始末できちゃう。レックスは本当の小賢しい。クラークは爆発後にすこし、世界から離れてみたりします。

レックスは、弱点を知っているわけです。スーパーマンから何を奪えばいいのか。戦略的なんですよ。ブルースが見たビジョンのひとつは、ロイス(またはマーサ)が死んだ場合のビジョンなんだとか。ダークサイドに落ちたスーパーマンなんですよね、あれは。

それに続けてみるビジョンは、夢ではなくビジョンなのかも、あれは、誰なんだろう…と思いながら見ているとどうやらフラッシュのようなんだけど、初見で最初に出てきた時は、ロビン?とかとも思いました。マスクの感じとか。「僕たちを探して」というんですよね、その子が。

解析したデータの中には20世紀の初めの頃のダイアナの画像があるんです。それを、本人に送りつけるブルース…。添付ファイルまで全部送る?送るかな?そうかな?とは思ったけど、まあいいか。

送られたダイアナは全部見るんですね、ここで紹介コーナーなわけです。結構雑だな。フラッシュ(エズラ ミラー)、アクアマン(ジェイソン モモア)、サイボーグ(レイ フィッシャー、サイボーグって名前も雑だな←知らないで言ってます)がいるよ、仲間だよ、メタヒューマンだよ。っていう紹介です。

レックスは、さらにゾット将軍(マイケル シャノン=今回全編全裸)の死体から化け物(ドゥームズデイ=最後の日という意味もあるよ)を作り上げてしまうんです。やっぱり頭いいの、クリプトンの船も言い負かすの。さらに、スーパーマンの弱点であるロイスと母親(ダイアン レイン)両方を使っておびき出し、さらに、スーパーマンがあえて避けているバットマンとの戦いを強いるんですよ。もうね、ほんと汚いね。

バットマンは話も聞かないで戦い始めます。ほんと、ひどい。

ほんとにね、ひどい目にあいます。容赦ないんですよ。殺すつもりですからね。でも、スーパーマンが母親の名前を出した時に、とどめを刺そうとした手が止まります。まさかのカーチャンの名前が同じことで回避できるとは!この時のすごい間抜けな感じが、ああ、もう、ブルース…って思いましたね。ここで冒頭のシーンをリフレインさせる監督も監督だ。最初にビクッとさせられるブルースが見たビジョンはこのことの予知夢に近いものだったのかも…ちょっとわかりにくいけど。母親が鍵である、ということで。

ここで、ブルースに母親救出を任せるスーパーマンてなんて心が広いんだ…。

ドゥームズデイが暴れ出した時に、しょうがないなー、ひと暴れすっか…みたいな感じで登場するのが、ワンダーウーマン(ダイアナ)です。この登場シーンがマジでかっこいい。音楽も素晴らしい。それに戦いっぷりがいいです。やられてもやられても、やるじゃん?みたいな感じで向かっていく姿とか、男前すぎた。

エネルギーを吸い込んで自分の力にしてしまうドゥームズデイに対して、あっさり原子力爆弾使うとか、結構雑だなー。一回無力化しても太陽の光で生き返るスーパーマンとか、もうこの辺り、雑すぎた笑。

でも、このあと泣かされるわけですよ、わかってるのにな!

どんなに戦っていてもロイスのピンチは聞き分けられるスーパーマンが、槍を取りに行って、半分死にそうになって、それでも、ロイスに愛を告げたあと戦いに向かうんですよ、そもその辺りからググッとなってきていて、自己犠牲すぎるスーパーマンに涙ですよ。わかってるのに!死に顔が美しすぎてどうしたらいいか分からなくて動揺した。その顔を堪能したい気持ちと、ああああ、死んでしまったーという気持ちのせめぎ合い。

もう、葬儀の時に流れるバグパイプで号泣ですよ。ところで、なんで、バグパイプなんですか?スコットランドからの移民なの?ケント家?USエアフォースの葬儀ではバグパイプでアメージンググレイスを演奏するのがしきたりなんですね…。もともとスコットランド民謡となにかを混ぜて作られた曲だとか。スモールビルのバグパイプも関係あるのかな?一人いたよね。

まあ、きっと生き返るんですけどね。

わかってるんですよ、次の撮影してるの知ってるし…ジャスティスリーグの撮影してるの。でも、泣くんですよ、あれはなんでしょうね。ロイスとかママとかに感情移入してしまうように描かれてるんでしょうね。

やられたわ。

カーチェイスの低いカメラアングルとか、切替の早さとか、ついていくのが大変になること請け合いです。体調万全で観に行きましょう。

一回見て好きかも!と思ったので、2回観ました。

1度目はIMAXで観ましたが、2度目にドルビーアトモスで観たのですが、ドルビーアトモスでのワールドエンジンの音がやばかったです。本当に上から降ってくる音。私は何よりアトモスが大好きで、あの囲まれる感は他にはないなあって思っているのです、是非試してみてほしい。音だけ、画だけじゃないのよねー。IMAX12.1chで観てないけど、多分、アトモスの方が好き。序盤のワールドエンジンの音とかまじやばいです。あと、メキシコで人に囲まれるところとか…。アトモスは囲まれるとか、広がりとか上からっていうのに本当に強いのでオススメよ。

IMAXカメラで撮影されているから、IMAXじゃないと天地がカットされるっていうレビューとかも見ましたけど、カットして場面がわからなくなるような映像はなかったなあ…。多分、宇宙に向かうシーンは違うかもな…。

どうでもいいことですけど、TAOの役はあれでよかったんですかね…。わざわざTAO指名での出演みたいだけど、特に彼女である意味とかあまり見出せなくて…。アクションもないし、ただのレックスの綺麗なアシスタントなだけで、有能であるっていう描写もないし、綺麗な東洋人なら誰でもよかったんじゃ?東洋人の女性の地位向上にはなってないなーって思いました。どうでもいいんですけど。

もうひとつどうでもいいことなんですけど、ツイッターにも書いたんですけど、アンゼたかしの字幕って、大変わかりやすく、意味も間違ってはいないし、悪くはないとは思うんですけど、噛み砕きすぎてて、いい日本語になりすぎてて、なんかね、そうじゃないんだよなーっていうところが、今回も結構あって気になりました。長めのセリフで簡単なところは字幕も見ないので、気がついたのよりもっとあったのかもだけど…。血を流すのか?のところはちょっとやり過ぎ感がありすぎた。あれ、ラストシーンでのあの姿で大事じゃないですか?流れていますか?っていうね。まあ、いいんだけど。たいへんな仕事なのわかりますし。誤訳というわけでもない。いや、誤訳なのかな…。わからぬ…。そのまま、うまく訳してくれればいいんだよなーって、いつも思います。私事ながら、ちょっと前に文芸翻訳で講習受けた人はわりと、噛み砕き派で、話し合わないなーって思ったことがあったけど。その人は盛っててもいいんじゃない?派でしたね。


2016/03/25 109シネマズ木場 M列

パンフレット(820円)は翌日買いました。コート紙で平綴じ、写真が豊富です。パンフレットに書かれてるレビューってあんまり読まないから、その分プロダクションノートとか、増やしてくれたらいいなあ…って思いました。本当はインタビューが多いのが好きだけど…。エイミーアダムスやガルガドットのインタビューが載ってたらいいのにねえ…。

リリーのすべて

The Danish Girl(2015 Tom Hooper
東宝東和(2016年3月18日)

http://www.imdb.com/title/tt0810819/

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ほとんど同じなんですね。本国版には別の画像バージョンもあるけど、これがいいかな。

すごくデリケートな題材だからなあ…微妙だなあ…と思いながら書いていると思って読んでください。気付かぬうちにネタバレもしていると思います。


アリシア ヴィカンダーがアカデミー賞(助演女優)を獲りましたけど、どんなもんかなーっていう気持ちも半分あったんですよ。これ、物語の主役は確かにリリーであるエディ レッドメインなんだけど、映画で描いているのはゲルダ(アリシア)ですよね。

エディって、ちょっと少年ぽさが残っているし、体系的にも細身だから最初に出てきた時のは中性ぽさより少年ぽさを感じた。高いカラーのシャツもお似合いだけど、これは元々そういう服を着てたのか、首のラインを出さないための衣装さんの工夫なのか。女装し始めてからはちょっとジェシカ チャスティンぽさを感じる。この首から肩にかけてのラインとか、すごく意識して撮られていたなあ。

最初は、二人とも普通にラブラブさがあるし、あれ?って思ってた。もっと最初から自分の性別に関する疑問がある人なのかと思ってたから。

女性の服に触れることで目覚めていく時の自分でもわからない感覚の表現とか、それに目覚めてから止められない気持ち…のような鏡の前のシーンは驚いた。あれ、この映画R18指定だったか?と思った。頑張ればモザイクとかぼかしとかかけないで上映できるんじゃない!R15だったけど…(調べたら、日本だと15歳以下は絶対見られないのね)

ナイトドレス着てるところのシーンはエロかった。このシーン、ゲルダをアリシアがやっているから若干健康的な雰囲気があってあんまり思わないけど、ものすごく倒錯的なシーンだと思っていて、もっと倒錯的な雰囲気が出る女優さんでも良かったのかなーという気もしないこともない。誰って思いつかないけど。アーティストだし、この倒錯的な部分を受け入れているところがあるのかなあって。

最初は面白がっているゲルダだけど、そのうち本気なんだなあ…っていうのがわかってきてから、どんどん辛くなっていくんだけど。つまり倒錯的なだけではない本当に置いていかれるなんて、最初ゲルダの中にはなくて、楽観視してたと思う。

ゲルダとしてはアイナーのことを諦めきれないんだけど、だけど、どうにもならない、走り出した物(リリーの気持ち)を止められないっていうところが本当に不憫でならず、ポロポロと泣いてしまった。ゲルダの切なさみたいなのに説得力があるんだよなあ…こういうところはアリシアで良かったと思う。旦那が身勝手で辛いとか、献身する姿が美しくてとか、そういう涙ではないです。なんだろう、思いが伝わらない伝わってはいるけどどうにもならないっていうところか。

でも、ゲルダにはハンス(マティアス スーナールツ)がいるからね。ハンス、素敵だったわー、包容力がありそうで。どこかで見たことあるのに思い出せなくてモヤモヤしてたら、The Drop(日本では華麗にDVDスルー)に出てたのね…。こんなに厚みのある感じだと思ってなかったな…。

でも、ハンスではダメなんだろうなあ…頼ることはしたとしても、ハンスのことを好きになるかっていうとそうでもなさそう(現実はどちらも配偶者を迎えたそうです)(ハンスではないみたい?)(というか、この映画は相当脚色されているらしい)

エディは「彼女と博士のセオリー」でも、献身的につくす妻(でもそこはかとなく冷たかったけど)を持っている役だったけど、結局この作品も、女性になったにしろ何にしろ、献身的につくす嫁がいたんですよねー。

でも、観ている間はあんまりそんな風に思わなかったのは、やっぱりリリーが女の人に見えてきてたっていうところかもしれないなあ…。

ワンコ可愛かったね。

ゲイであるヘンリック(ベン ウィショー)が、性転換しちゃったら(アイナーじゃなかったら)興味なくなっちゃった…っていう風なところがちょっとニヤニヤしてしまった(すいません)

随分と現実とは違う話になっているようで、婚姻が無効になってからはそれぞれパートナーがいるんですねー。そういう話じゃあ映画にならないか。とにかくドラマチックなストーリーになっているんですよね。

言われているように、変なアングルが多かったとか、アップ多用しすぎとか、心情語りすぎとか全然思わなくて…節穴なのか…と不安ですが。クロースアップは基本的に好きだからな…マクロ的な映像とか。逆に、カンヴァスの裏から写しながら寄っていくとか、結構好きだった。美術がねー、良かったよね。アールヌーヴォーなんですよね、アールヌーヴォーのパリとか憧れるわー…とか思ってました。あのアパルトマンとかすごく素敵。カーテン!ゲルダのいつも来ている襦袢みたいな羽織みたいなのも良かったわ…。美術はEve Stewartていうひとでした。

劇中では本物の絵は使えなかったそうです。個人コレクションで高すぎて…。にしても、劇中の絵の雰囲気はレンピッカぽすぎる。もっとミュシャっぽいんじゃないのかな…。

撮影監督はDanny Cohen、ずっとトム フーパーと組んでる人らしい。クロースアップとか煽りとかはこの人の癖なのそれともフーパーが好きなの?

サンクスにはトランスジェンダーの方たちの名前と思わしきものが…と思ったら、ラナ ウォシャウスキーの名前も。ジュピターの時にすでにエディはリリーをやることが決まっていた、だから、弟(妹)もリリーなんだとか…。リリーの名前も欲しかったところか…。

音楽は、ハープが気になる管弦楽でした。優しい感じ。なんとなくキャロルの音楽を思い出してたけど、時代感のある音楽は流れなかったからなあ…(あってもこの時代の音楽はわからない)


2016/03/19 TOHOシネマズ新宿 スクリーン9  I列
パンフレットは副読本としてあるといいのかもしれないけど、うっすらです。
情報としてはこことかも詳しい。

マジカル・ガール

Magical Girl(2014 Carlos Vermut)(ビターズ・エンド 2016年3月12日)

La Niña de Fuego(スペイン)

http://www.imdb.com/title/tt3089326/

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これまたツイッターのTLでざわざわしていたので観に行きました。日本のポスターはミスリード誘いすぎじゃないかしら…。

すごく久しぶりに恵比寿に行ったのでマゴマゴしました笑。恵比寿ガーデンシネマは、再オープンする前の劇場のときにはたまに行っていたのだけど、ああいう作りだったかどうかも忘れていました。

マジカルガール(魔法少女)という言葉からイメージするものとは、ほぼ真逆の、しかしながら、魔術的な作品でした。

ネタバレしてます。


この可愛らしいショートカットの少女は、本当に可愛らしいのだけれど、いわゆるサイドストーリーというか、二つのお話が絡み合って…という話で、どちらかというとメインではないのでした。メインじゃないというと語弊があるか…。事の発端にはなっている。しかし、本当に可愛かったです。

メインは、この額から血を流す女です。これがまた、なんというか、精神的に病んでいるのだけれども、あれ、病んでいるのではないのかな…もしかして、いちばんまとも?とかも思ってすごく謎に包まれた気持ちになりました。

生活感が全く感じられないんです。

洗濯したり、ご飯作ったり、食べたりしているので生活はしているんですが、なんというか、つるっとしてるっていうか、シンとしてる。絵に描いたみたい。あ、そうだ、全部が絵みたいなんだ。なんとなく、アレックス カッツの絵みたいなんだ。

でも、街の様子とか、バールとかは割と生活感もあるんだ。

ところどころ笑えるところがあるんだけど、最後全然笑えないし、置き去りにされる感あるし、でも、置き去りにされて憤慨するタイプじゃなくて…。

とにかく、この曲に尽きた。長山洋子の曲とか、最後の黒蜥蜴の唄とかよりも。強烈に印象に残ってる。

https://youtu.be/1jIpvamKGOE

ああ、蜥蜴の部屋では何があったんだろう…。たぶん、最初に訪れた時のいろいろがヒントになっている。全身の傷跡と、セーフワード。S&Mなんだとは思うんだけどさ。蜥蜴の部屋ではセーフワードがないんだよね…。

あとよくわからなかったのはなんでダミアンはバルバラを恐れていたんだろう…そして、なんでバルバラの頼みを聞いたのか。最初のシーンから何かもっと汲み取れるところがあったのかな…もう一回観るべきか。


2016/3/16 恵比寿ガーデンシネマ J列(プライベートシートじゃなくても全然良さそうだった。ちょっと前でもいいかな…)(行きつけにしたい)(コンセッションがオシャレすぎた…カフェか)

これが私の人生設計(シンカ 2016年3月5日)

Scusate se esisto!(2014 Riccardo Milani イタリア)

Do You See Me?

http://www.imdb.com/title/tt3825738/

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コメディなので、盛りだくさんにしたい気持ち、よくわかる。

ツイッターのTLでなんだかやけに評判がいいので気になって観に行きました。

イタリア、ローマ郊外で父親に愛され、神童のようにして育ったセレーナ(パオラ コルテッレージ Paola Cortellesi)は、国外でも成功を収めたのだけど、急にひとりぼっちなことに気がついて、故郷に帰ることにしました。実家にはお母さんと伯母さん(この伯母さんがすごい、何言っても笑える)しかし、不況のイタリア、帰っても仕事がない。そもそも景気が悪い上に、女性には厳しい状況のイタリアの社会。

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いくつも仕事を掛け持ちしているけれども、建築への情熱が消えたわけではない。たまには建築と関係のないレストランのウェイトレスもやろうかと面接に行く。

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このオーナーのフランチェスコ(ラウル ボヴァ Raul Bova)がちょうイケメンということで、登場シーンから笑える。このバツイチイケメンオーナーが実は…ゲイなんです。一度は女性と結婚したものの、本当の自分に気がついて離婚、一人息子のエルトン(この息子がちょうかわいい)(マッテオ フォティ Matteo Fotti)(だいたい、エルトンて…)は母親に任せっきりでほとんど会ってない。独身生活満喫しすぎている。

レストランでバイトしてても多国語を話すし、フランチェスコに目をかけられるんだけど、セレーナは、女性として気に入られたと思ってしまって、ここで一悶着。

そうするうちに、公団住宅のリニューアル公募に応募するんだけど、このあたりのセレーナの仕事に対しての真摯な態度というのがちゃんと描かれていて、好感が持てる。実際に公団住宅を訪ねて住民に話を聞いたり(なりゆきで…だけど、ちゃんと設計に活かしてる)コメディだからといってそういうところはいい加減じゃないのです。

応募しても女性が採用されることなんてないという業界の悪習のようなものがあったり、ごまかして潜り込んでも、建築事務所はボスがいばりくさっている旧態依然とした職場。颯爽と現れたミケーラが、イケてるキャリアウーマンかと思えば、ボスのサポート役(ボスはミケーレいなければ何もできないのに)に徹するだけ。セレーナは、実は身分を偽って公募に採用されていて、それをカモフラージュするためにフランチェスコに代役を頼むのだけど、これがちょうドタバタで面白い。出てくるゲイをいじりすぎじゃないかって思うんだけど、大丈夫かな…。一番笑わせたのは市役所勤務の奴隷74番かな…(正確な番号は失念)出てくるタイミングもいいし、帰るときのシーンもいい。やたらと押しの強いニコラ(マルコ ボッチ Marco Bocci)もいい。

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公募のコンペで見かけた「もやし」男が同じ設計事務所にいたんだけど(そもそもこの設計事務所を間借りするくだりがよくわからなかったんだよね)そいつだけが、セレーナってもしかして…って思うんだけど、その気持ちを受け入れるのは最後の最後なんだよねえ…。この人味方につけたらいいのに…って思ったりしてた。個人的にこのもやしみたいな人が職場にいるので、ダブってきて余計おかしかった。

エンドロールで流れるテロップで、ちょっとグッと来るんだけど、すぐにはぐらかされた笑。

しかし、実際問題そんなに華麗な実績があれば、いくら男性社会だと言ってもここまでひどくはないんじゃないかな…という気もするし、そういう人が本当に故郷に帰って来たいと思うのかな…(帰ってきても特に家族にべったりでもないし)こんなだったら、ニューヨークなりロンドンで家族を作ったほうがよかったんでは?っていう気がしてしまうんだけどそれを言ったらお話にならないのか…。

日本とイタリアってもしかして社会的なものが似ているのかな?って思いながら見てた。女性は男性を建てるべし、三歩下がってみたいなやつとか、マンマ(カーチャンやおばちゃん)は強いのに女性の立場は弱いとか。


2016/3/13 新宿ピカデリー シアター4 D列(もう二つくらい後ろFがベストかなー)

マネーショート

The Big Short(2015 Adam McKay)(東和ピクチャーズ 2016年3月4日)

http://www.imdb.com/title/tt1596363/

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左のバージョンの日本版もあるみたい。パンフレットの表紙はこれでした。

リーマンショックの時に逆張りして儲けた人もいたという話。これを教訓にすべきなのに、全然だね…。という話でもあるし、ちょっとすんとするシーンもあります。字幕翻訳は栗原とみ子さん(字幕も気になるので、これから書いておくことにしますね)

大変面白かったです。独特のカメラワークと画質(家庭用ビデオのような)としょっぱなから第四の壁をグイグイ越えてくる感じとか、インサートされる雑多なイメージとか、インサートされる「説明しよう」シーケンスとか。

しかしながら、用語がわからないわからない。経済なんて興味持って向き合ったことがないから略語がわからない。サブプライムローンとか目論見書くらいはわかるけれども…。

実話ベースなので、どの登場人物もモデルがいるわけだけど、どの人もなかなか一筋縄でいかないし、どいつもこいつも個性的すぎて面白い。

なんとなくオーシャンズみたいな話かと思っていたら(なんとなく、ポスターの感じとか、予告の感じとか)実は群像劇でした。

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リーマンショックの時に逆張りしていたのは、誰か一人ではなくて同時発生的にアメリカのどこかでそういう人がいたってこと、元々のアイデアはマイケル バーリというトレーダー(クリスチャン ベール)のようなんだけど、これをナイスなアイデアと思って実行する人たちがいたってこと。そもそもこれがすごい。しかし、数字を眺めているだけで何か気がつくっていうところがね、すごいね。

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最初から第四の壁を越えて観客に話しかけてくるのがこのうちの一人のドイツ銀行のジャレット ベネット(ライアン ゴズリング 絶対セクシーにならないようにしてくれといわれてパンチパーマヅラを装着して偽日焼けをしている)ヘッジファンドマネージャーのマーク バウム(スティーブ カレル)とその社員?仲間たちと組んで一儲けしようとします。この人は結局、会社のためじゃなくて自分のためにやってるのよね。マークはちょっと精神的にもヤバめな感じの人で、でもすごく頭がキレる感じだし、頑固そう。

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それから、人づてで(映画の中で違う描かれ方をしているのをナレーションでバラしちゃうし)これを聞いた田舎から出てきた二人組の若いトレーダー(ジェイミー=フィン ウィトロックとチャーリー=ジョン マガロ)(マガロはキャロルにもブリザードにも出てた)も乗っかります。その二人の知り合いで元ウォール街で働いていたベン リッカート(ブラット ピット)も二人を手助けします。このベンの描かれ方も面白い。早々にリタイアした金持ちがやりそうな感じ。

マイケルは見た目が本当に特殊で自分で切ってる?みたいな頭にTシャツに半ズボン裸足…。といった感じでメタルを大音響で鳴らし、人とは話をせず、家ではドラムを叩きまくるという人です。ものすごく変。だけど、独特の数字好きの勘が働くようです。

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マイケルのクリスチャン ベールもすごかったんだけど(撮影でもずっとひとりぼっちだったらしい。パンフレットに書いてあった)、スティーブ カレルがねすごかったですね。ヘッジファンドなんだけど、金を儲け過ぎていることに対する猜疑心みたいなのがあって、心を病んでて、ものすごく変。スティーブカレルはこの仮名の実在の人にものすごく見た目とか寄せたんだってインタビューかプロダクションノートで言ってました。

マークチームの人も何かと面白いし(特に、どこかに行くと何かを食べようっていう人)ちょいちょい出てくる人もそれぞれに面白みがあって、滞納中の家を借りて住んでるおっちゃん家族とか、ブローカーとか、ストリッパーとか、証券会社の人とか。

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この人なんかいいよね、香港出身の人みたい。胡散臭さ…。

人の面白さはわかるから、次はちゃんとこの周辺のことだけでいいから経済用語とか勉強して、もう一回見たいと思います。

参考になりそうなサイトをいくつか…

http://bylines.news.yahoo.co.jp/atsumishiho/20160305-00055068/

http://lite.blogos.com/article/164852/

それから、破綻しそうな気配を感じるところのシーンがものすごくグッときます。ずっと寄りが多めのカメラがガーッと引きになるんだよね、ここだけ。全編笑いが満載なんだけど、ここだけものすごく悲しい。ザラザラした画質と時々ピントがずれたりズームが動いたりするのもいいですよー。


2016/03/05 TOHOシネマズ日本橋 スクリーン7 H列

パンフレットはもうちょっと突っ込んで書いてくれたら嬉しかったかも…と、まるでブラッドピットのインタビューは最後まで粘ったけど取れなかった…みたいな台割りが気になります。720円。

幸せをつかむ歌

Ricki and The Flash(2015 Jonathan Demme)(ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2016年3月5日)

http://www.imdb.com/title/tt3623726/

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なんだかいろいろモヤモヤする映画でした。

子供が思春期の頃に夢を追いかけてロックミュージシャンになろうとした母親(メリル ストリープ)が、娘(メイミー ガマー)が離婚して自殺未遂をしたと聞いて十数年ぶりに帰ってきます。

だいたいこのロックミュージシャン像が古臭い。このブレードダサい。尾籠なジョークを言ったりするのがダサい。この時点で乗れないのだけど(もう予告でわかってたんだけど)セバスチャン スタンを見るために頑張りました。

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リック スプリングフィールドのファンの方と思われるお客さんもいらっしゃってましたね。超妙齢のお姉さんがた。

十数年ぶりに、結婚式には来なかったのに離婚したらくる母親、婚約した時は知らせなかったけど結婚式には呼ぶきょうだいのなかでは一番母親と仲のいい息子、子供の頃からゲイだけどカムアウトする前に姿を消した母親と再会するゲイの息子。若い嫁と再婚してるけど、留守なので元嫁を客間に泊まらせる元夫。子供達の面倒を見続けた若いよくできた嫁は陰で元嫁にひどいことを言ったりする。バンドは全然売れておらず、息子の結婚式のためにギタリストがSGを質に入れて金を用意する。

だけど最後は大団円。

全然理解できなかった。誰にも感情移入できなかった。

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セバスチャン スタンはほとんど演技してなかった。演技必要な場面なかった。ほとんど。でも、花婿姿とダンスしてる姿は楽しそうで可愛かったです。のべ10分くらいのために俺は頑張った。余分にGIF貼っておくね。


2016/03/05 Bunkamura ルシネマ スクリーン1 G列

パンフレットは買わなかった。なんかお土産もらったよ、シュガースクラブみたいなやつ。初日特典だとか。

ザ・ブリザード

The Finest Hours(2016 Craig Gillespie)(ディズニー 2016年2月27日)

http://www.imdb.com/title/tt2025690/

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評判があんまり良くないのかな…と思っていたら、ケイシー好きは観に行ったほうがよさそうな雰囲気だったので見に行きました。エリック バナもでてるしね(無駄遣いだったけど)

なぜか最近多めのボストン周辺のお話。ナンタケット島に近そう。今回は50年代ということもあり時代の雰囲気はキャロルともかぶります。

沿岸警備隊の隊員バーニー ウェバー(クリス パイン)が、同僚のガスと電話だけで意気投合していた女性ミリアム(ホリデイ グレインジャー)に初めて会うところからストーリーは始まります。

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ドラマチックにしたいのか、その映像美というか、海の恐ろしさの絵を見せたいのか、ハートウォーミングにしたいのか、どれもがなんとなく中途半端なのと、それぞれの人間を魅力的にしたいのかなんなのか分かりづらかった。小さい救助艇がなんども大波に飲み込まれては、浮き上がってきたり、タンカーの伝令が伝えられるところの描写とかいいところは結構あるんだけど…。

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そもそも主人公であるバーニーはそんなわけで煮え切らない男だけど、前の年に人を一人救い損ねたことがトラウマになっていて、それを克服するために今度は全員を助けるぞというところなんだけど、そうはいってもどうしても自信のない感じが全面に出てきて、実はすごいのに描写として大してすごくない感じ(たまたまタンカーにたどり着いた、たまたま満ち潮で砂州を越えて帰ってきた)にしか書かれてないし…。セリフでこっち側に風を受けながらなら方向間違ってないとか言ってるのにね。

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半分になったタンカーの機関士のシーバート(ケイシー アフレック)が結構魅力的なんだけど(ケイシー好きだからなのか…)この人もセリフでひどいこと言われているし(好かれてないとかなんとか)ものすごく才能があって冷静沈着なのになあ…。急にゆで卵剥き始めた時はどうしたのかと思ったけど…。

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ミリアムも、本当にただただうざい女にしか描かれてなくて、空気読めとか言われてるけど、女の人は黙って見ているだけじゃないというのを出したかったんですかね、ちょっと斜めすぎてわからない。後方支援だけじゃない、意見だって言うってところか。職場に押しかける以外は、別に悪くないと思ったけど。

全体的に散漫すぎて、ラストの感動させよう感が満載の劇伴が空々しく感じるくらいでした。自分の気持ちをどこに着地させればいいのかわからない。

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ただ、ケイシーは本当に格好良かったですよ。


2016/2/29 TOHOシネマズ新宿 スクリーン4 E列

パンフレットは吟味してから買いたかったところ、前のお嬢さんがじっくり吟味されているうちに順番が来てしまい、流れでそのまま買いました。事実の補完にはなるので良いかと思います。720円。