ブラック・スキャンダル

Black Mass(2015 Scott Cooper)(ワーナーブラザーズ 2016/1/30 字幕:松浦美奈)

http://www.imdb.com/title/tt1355683/

image

日本版はこれポスターなんかな…チラシ?

ジョニー・デップ再評価!みたいな前評判だったと思います。ルックスを寄せているのはよくわかった。しかし、それに終始してしまったというか、ルックスを寄せたことに寄りかかりすぎたような気がしてなりませんでした。

image

前歯くらいでやめとけばよかったのでは…。

image

(お母さんのことは大好きっぽい)

南ボストンの地元のギャングとイタリアンマフィアの抗争に地元出身のFBI捜査官が関わっていくというような話で実話だそうです。

逮捕されたギャングのメンバーが捜査に協力して情報提供をする供述に合わせて物語が展開するという体をとっています。ものすごく淡々としているので、おやすみになってしまうおっさんが続出していました。いびきはどうかと思うよ。

image

とにかく、簡単に人を殺す。これが多分、ジェームス・ホワイティ・バルジャー(ジミー=ジョニー・デップ)の怖さじゃないかな、と思います。感情があまり表に出ないというか、それが悪いとも思っていないし、だからといって快楽的なものでもなく、恨みとかそういうものでもなく、とにかく「なかったことにする」ために殺す。

ケヴィン(ジェシー・プレモンス)もスティーヴィー(ロリー・コクレーン)も実際に人を殺したり殴ったりすることに罪の意識があるタイプとは違うとは思うんだけど(命じられれば簡単に殺す)それとバルジャーの殺し方は違ってた。昨日までの友人や仲間であっても、何も思わないかのように殺すし、しくじったら殺す。

image

そこに新たにFBIの捜査官として就任してきたのが地元出身で、今まで結果を出してきたジョン・コノリー(ジョエル・エドガートン)、こどもの頃には同級生のビリー・バルジャー(ベネディクト・カンバーバッチ)の兄であるジミーを大変慕っていた。ビリーは今では州議会議員になっている。ジョンは最初は捜査に燃えているのだけれど、ジミーをうまいこと巻き込んでマフィアを排除しようとするのだけど、どんどん利用されることになっていくし、利用されているのだけれど、助けているような気になっているし、金も貰っちゃうし、どんどん落ちていく。嫁のメリーアンにも着るものも歩き方も変わってしまったと言われてしまうくらい。FBIがピンストライプのスーツとか着ちゃうんだもんね…。同僚で巻き込んだモリス(デヴィッド・ハーバー)でも不安になるくらい。

image
image

案外ビリーは関わってこない。朝ごはん作ってるとか、お母さんの葬式のあとにジョンと飲んでるとか。悪を排除します!みたいなことを演説しちゃってるとか。もっとなんか悪徳政治家って感じなのかと思ったら、そうでもなかったのかな?たんに描かれなかっただけ?

とにかくね、俳優陣が豪華(俺的に)だった。

image

ハイアライ賭博の件で登場したブライアン(ピーター・サルスガード)が本当に短い時間だったけど、良かったですね。この人もっと活躍してほしいな。すごくうまいと思うんだけど…。

image

FBIの後任の検事のワイシャック(コリー・ストール)も、この人が就任した途端に物語の展開が早くなるっていう結構重要な役どころで、その情に流されたりしない、正義感に満ちたすごく賢そうな感じが出ててよかったなー。Dark Placesでも、良かったし、この人善い人の役の方がいいような気がする。

image

ジョンの上司であるマクガイア(ケヴィン・ベーコン)と同僚のロバート(アダム・スコット)の二人も終始ジョンを疑う姿勢を崩さず、毅然としているという役どころで、よかったですね。

image

私が一番この人うまいなーと思っていたのはスティーヴィーをやったロリー・コクレーンでした。セリフはあんまりないというか無口っぽい役なんだけど、それでも感情が出ているというか、うまかったなー。

ジェシー・プレモンスも良かったし、あっと言う間のシーンだったけどジュノ・テンプルも良かったなあ。

本当周りがガッチリ固まっていて、それにたいして評価が高かったはずのジョニー・デップが思っていたよりもそうでもなくてなあ…。感情がどう揺れているかわからない怖さというところでもなく、訳のわからないことをするというこわさでもなく、とにかく人を殺すことなんて何とも思っていません的なところというか、一貫したバルジャーの怖さみたいなものがなんか伝わってこなくて…。実話ものっていうとどうしても見た目を寄せたくなる気持ちもわからんでもないけれども、それよりももう少し内面的なものを、そもそも判り得るはずがないのだから、分かったらなあ…という気がしたなあ。息子を失うというところも、そのあとで人が変わったという風に言われていたけど、そうか?という感じだったし…。何か見落としているのかな…。

全体的に落ち着いて暗いトーンで寒くて冷たい感じの色彩がすごく良くて、寄りの画像はそうでもなかったんだけど、引きの画像がすごく好みで、とくにモリスとジョンがFBIの廊下?で話しているところの引きの画像の冷たさと感情がシンクロする感じのところとか最高に好きでした。映像監督がマサノブ・タカヤナギって日本人でした。しかも、ウォーリアーの映像監督でデビューした人なんだって。バベルでセカンドユニットの映像監督やってたらしい。ちょっと注目してみようと思います。

そして、その暗くて冷たいトーンによく似合う、ストリングスとパイプオルガンの重たい音楽だなーと思ったら、音楽はトム・ホーケンバーグ(ジャンキーXL)でした。全然いつものビートの効いたやつじゃなくて、この人の幅を発見できてよかったです(パイプオルガン買ったんだってよ)

使われている音楽は当時っぽい感じ。

http://www.what-song.com/Movies/Soundtrack/1833/Black-Mass

http://apervertatthemovies.tumblr.com/post/137757235767/black-mass-scott-cooper-2015

http://robbedpattinson.tumblr.com/post/137390749173/films-watched-in-2016-10-black-mass-scott


2016/01/30 新宿ピカデリー スクリーン3 E列(もう2つくらい後ろがベストかな…)

パンフレットはちょっと大きめ、情報量は割と普通。720円。

ザ・ウォーク

The Walk(2015 Robert Zemeckis)(ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2016年1月)

http://www.imdb.com/title/tt3488710/

綱渡りメインの日本のポスターとそうじゃない本国ポスター。やっぱりなんだ、誘導されるよなあ…。

本当に誇張抜きで、手に汗を握りました。手汗拭きながら見てた。

子供の頃に出会ったサーカスの綱渡りに魅せられたフィリップ(ジョセフ・ゴードン-レヴィット)がWTCの二つのビルにワイヤーをかけて綱渡りを成功させるまでの話です。

成功したのかどうか、あえて知らずに見ました。だから余計手汗かいた笑。

JGLは実際低い綱は渡っているんでしょうか(渡っているようです。フィリッププティ本人から指導を受けたらしいです、グリーンバックで演技する時も結構な高さで演技しているみたいです)そもそもジャグリングはしているっぽいので、この人の身体能力もどうなっているんでしょうね。それに、このフランス訛り。すごくキュートじゃないですか。実際のフランス訛りの人ってもっとわかりにくい気がするんだけど、この人のはわかりやすいし、他のフランス人はむしろあんまり訛ってない(一人は英語喋らないし)でもキュートなのでいいです。ニューヨークに行くために英語の練習をしているから英語で喋ろうっていう言い訳笑もいいですね。そうですもんね、みんなフランス人ならなぜフランス語で物語進行しない?っていう話ですもんね。

フィリップ本人がわかりやすい狂言回しとして出てくるのが、最初ちょっと馴染めなかったんだけど…。客に向かって話しかけるとか…まあ、そういうもんだと思って受け止めれば大丈夫。

サーカスで綱渡りをやっていた師匠のパパ・ルディ(ベン・キングスレー)もフィリップの身体能力に何かを見出したのでしょう、自分の子供に教えるのと同じように、むしろそれ以上にフィリップに技を伝授していきます。それにすごくいい人。フィリップを送り出すところとかね、グッとくる。

大道芸をやっていた時に出会うアニー(シャーロット・ル・ボン)もちょっとウィノナライダーを思い出させるようなお人形さんみたいなかわいさ。

写真を撮りに来たジャン・ルイ(クレマン・シボミー)にも計画を話して共犯者にします。このジャン・ルイがフィリップの大親友のようになるのがすごくいい感じです。

ジャンが連れてきた数学の先生がジャンフランソワ(ジェフ=チェザーレ・ドンボーイ)この人英語がしゃべれません。しかも、高所恐怖症。何の役に立つのか!と思っていたら、この人が意外と活躍するし、泣かせます。

ニューヨークで計画を実行している間に先にできていたノースタワーに忍び込んだ時に知り合うバリー(スティーブ・バレンタイン)はフランスでノートルダムで綱渡りをしていたのを見ていたというね、何という人を引き寄せる運がいいのか、フィリップは。

今度はインターホンみたいなの買いに行けば、そこでフランス人に会っちゃうし(ニューヨークにフランス人いないと思ってんのか?とか面白い)この時代の人みたいになってるジャン・ピエール(J.P. でも中の人はアメリカ人ジェームス・バッジ・デール)

ジャン・ピエールが連れてきたポットヘッズは、ちょっとハズレだったけどこれはフィリップのせいではないし…。

みんなキャラが立ってるし、帰りがけに大学生くらいの集団がオーシャンズっぽかったな!って言ってたけど、そういう感じで、楽しいくらいに計画が進んでいくんですよね。

3D効果が繊細だって言ってるのを聞いてたんだけど、本当でした。びっくり飛び出し効果は2回ぐらい。最初の綱渡りのところで棒が落ちてきた時はとっさに避けてしまったけど笑 ツインタワーの高さを実感するための3Dで、でもなんていうか高すぎてもう、怖いとかじゃなくなるんだよね。高さのせいじゃなくて緊張して手汗かくかんじ。もうね、寝転がったりしないでほしいです笑。わー、これでバランス崩したらどうするのー?って…。上着を落として下着だけどやるよ!ってなってるところとか、やだこれフラグ?とか思っちゃうし。

最後の方のジェフが本当に可愛くてねえ、いいですね。

↓これは本物。マン・オン・ワイヤーのシーンかな?きっとオフィシャルフォトグラファーのジャン・ルイが撮ったのでしょうか。ズボンの裾はもっと広いな。

マンオンワイヤーも見ようと思います。

それでですね、この映画、綱渡りが中心ていえば中心なんですけど、出来たてピカピカのワールドトレードセンターも主役なんですよね。本当に実在するかのように映されてて、今は存在しないことを忘れてしまうんですよね。

後半、あれ?もしかしてそうなんかな…って思い始めたら、もう、目から汁があふれてきてしまってね。最後の方に展望台のチケットの話とか出てくるところで涙腺は崩壊しました。そう考えると最初の最初から、フィリップがこのツインタワーの完成図に魅了されるところから本当に美しく描かれているんですね、神々しく描かれてる。初めてフィリップがタワーに触れる時も。

http://robbedpattinson.tumblr.com/post/136582870692/people-ask-me-why-do-you-risk-death-for-me


2016/01/23 109シネマズ木場 IMAX3D スクリーン2 L列

パンフレットもトレーシングペーパー使ってたりしていい仕様になっています。TWCのことも書いてあるし、いいと思います。720円。

白鯨との闘い

In The Heart of The Sea(2015年 Ron Howard ワーナーブラザーズ)

http://www.imdb.com/title/tt1390411/

image
image
image

 出演者どーんっていうのが好きな人がどこかにいるらしい。

もっと白鯨と闘いまくる映画なのかと思ってました。邦題に引きずられすぎたか、予告に引きずられすぎたか。

メルヴィルの「白鯨」の元になった話の映画です。思っていたよりも人間ドラマだった。白鯨は読んでない。そして、白鯨といえばウォーリアー、くらいなわたしです。

石油が出てくるまではクジラの頭の脂がランプなんかに使われていたんですね。アメリカ、ニューイングランドのケープコッドの先にあるナンタケット島は鯨漁の中心地(っていうのか?)で、そこから鯨漁に出た人たちの話です。

日本の鯨漁とは違って(たぶん)脂だけとって脂だけ持ち帰るというやつのようです。

船は木製だし帆船だし、銛で突くような漁の時代。実際のところ、えーっこんなに小さい船で鯨捕まえるの?まじか?っていう感じです。

image
image

時代は下ってメルヴィル(ベン・ウィショー)が巨大な鯨の話を聞くためにトーマス・ニッカーソン(ブレンダン・グリーソン)を尋ねるところから映画は始まります。渋りながらも話し始めたのは、30年前の漁の話。トーマスが初めて漁に出た時の話でした。今まで誰にも話したことのない話、それを次の作品にしようとしているメルヴィルがお金を積んで話してもらおうとするんですが、何か後ろ暗いところがある様子のトーマスが重い口を開くんですが…。

image

オーウェン・チェイス(クリス・ヘムズワース)は鯨漁船に乗る人、一度漁に出たら1年くらい帰らない。奥さん(シャーロット・ライリー)が妊娠してるんだけど出産を待たずに出航することになります。船長として次の漁は出航できるはずだったのに、町の名士の息子ジョージ・ポラード(ベンジャミン・ウォーカー)が船長となり、チェイスは一等航海士として新米船長を助けることになるんですが、これがまた仲が悪い。エゴのぶつかり合いで、すぐに暗雲立ち込める。

ポラードはいきなり嵐に突っ込むとか本当にダメ船長っぷりがすごい。失敗したら人のせい、責任なんて考えない。おぼっちゃま気質丸出しです。それに対して、腕一本でのし上がってきたようなチェイスは、全く逆で船員からも人望厚く、海のこともよく知っているし、腕っ節も強く身のこなしも軽いし、漁のこともよくわかっている。二等航海士のマシュー(キリアン・マーフィー)とはずっと一緒に漁をしてきた仲間で、仲がいい。

image

孤児のトーマス(トム・ホランド)はそんなチェイスにちょっと憧れてる。トム・ホランドって、ジェイミー・ベルに似てる気がする…。

近海にはもう鯨がいなくなってるんですね、きっと乱獲したんだろうな。それで、寄港地で聞いた鯨がいっぱいいるところに行こうとするんですね、そこには怪物がいるということも聞いてたんだけど、手ぶらで帰れないし、とりあえず行ってみると…。

image

ポラードの従兄弟、ヘンリー(フランク・ディラン)も乗船しているんだけど、こいつがちょっとやな感じだなーと思っていたんだけど、最後の最後でちょっとこうなるのかな…と思っててその通りだったから、ちょっとかわいそうだった。見た目はちょっと好き。

メルヴィルが全部話を聞き終わって、創作意欲がモリモリでワクワクしながら帰るところで、地中から油が出た!びっくりだね!って話をしていて、これで捕鯨はしなくなるのかな…と思った。ナンタケットバスケットって有名よね。鯨と関係あるのかな?ナンタケットといえば、娘たちのための狩りと釣りの手引き(メリッサバンクス)にも出てこなかったっけ?(話全然関係ない)

飛び出す系の3Dじゃなくて奥行き系の3Dでした。最初の方は俺も船酔いするかと思った…。

image

パンフレット読んで知ったんだけど、これはヘムズワースの持ち込みなんですね、ヘムズワースってただの筋肉なだけの人じゃあないんだなあ…って毎回思っているような気がするな、ごめんな、クリス。20キロくらい痩せたんでしたっけ?ビルドしている時は重すぎるからかもしれないけど、すごいね。最初のところから少し落とし気味ですもんね。これくらいの方が似合ってる気はするけどな(軒並みビルドしている人にケチをつけている俺)

image
image

キリアン・マーフィーの出番が少な目だったかなー、もうちょっとあるのかと思っていたけど。キリアンだけじゃないけど、特に極限状態になった時に色っぽくなってたなあ…みんなおしなべて色っぽくなってたけどあれはなんなんだろう。

パンフレット読んで、もしかしてキリアンマーフィーって共演者たらしなのかな…って思った。しらんけど。


2016/01/16 ユナイテッドシネマ豊洲 スクリーン10 3D I列

パンフレットは薄く見えるけど中の紙が薄いやつなだけで十分な情報量でした。全部いい紙だとコストかかるから、これくらいでいいです。720円。

ブリッジオブスパイ

Bridge of Spies(2015年 Steven Spielberg 20世紀フォックス)

http://www.imdb.com/title/tt3682448/

image
image
image

トムハンクスどーん。日本版がこのシーンをなぜ入れたのかよくわからない…夫妻が抱きあってるやつですね。こういう「愛」ぽいもの入れる癖がありますね。どうかな、やさしさとはちょっと違うものな気もしますよね→コピー

最近見た冷戦時下のものといえばコードネームUNCLEなんですけど、それより少し前のベルリンがでてきます。話の方向性は全然違いますけどね。

主役はスパイじゃなくて弁護士です。

ソビエトのスパイだと疑われて捕らえられるロシア人のおっさんルドルフ・アベル(マーク ライランス)。そのロシア人を弁護するように会社の偉い人に言われて成り行き上弁護することになる弁護士ジェイムス・ドノヴァン(トム ハンクス)。冷戦下だからロシア人なんか弁護してほしくない家族、妻と娘二人、息子一人。娘はドノヴァンの助手とデートしてるぽい。ドノヴァンも助手のことは一目置いてるらしい。アベルの弁護をすることでこの裁判に勝とうとするドノヴァンとそれに批判的な世論。米軍は秘密裏にソビエト上空で地上を撮影しようとするけど失敗、パイロットのパワーズが捕らえられて裁判にかかり有罪になる。取り返そうと二人を交換しようとベルリンへ。

というような話なんだけど、こうやって書いていると本当にいろんなことが起きていて盛り沢山(このあとまだまだある)なんだけど、なんでか、すっきりうまくまとまっている。しかも、すごく暗い辛い風に描くこともできる話で、それが物足りないっていう人もいるかもしれないんだけど、私はこのくらいでいいと思った。本編はあくまでもドノヴァンがどのくらい注力したのかというところなのだから。

交換で一人対二人というのが冒頭の五人と一人だけど一件なんだというところとか、シーンを対比させて見せたりとかも多かったですね。電車の窓から下を見下ろすと…というシーンとか。

劇中、ドイツ語とかロシア語とかドノヴァンがわからない言葉は字幕もつかないんですよ、これはいいと思いました。片言しかわからないんですね、でドイツの不良に絡まれて(という体で)コートを盗られる時の不安さとか、一回捕まる時の不安さとか、すごく伝わった。

でも、ベルリンの手持ちカメラのところは車酔いしそうになった。

私はCIAのホフマン(スコットシェパード)が好きでした。なんとなく最初のどうにもドノヴァンと気が合わなそうな感じから、同じように風邪をひいて最後は小銭を搾り取られる(とはいえ嫌がりながらもしょうがないなーという感じで渡してた)

最後の方のベルリンから帰ってきたところのシーケンスもすごく好きでした。これが愛なのかな…うん。家族愛か。ドノヴァンは仕事に一生懸命すぎるけど、家族を大事にしていないわけじゃあないんです。その辺りのバランス感。


2016/1/11 TOHOシネマズ 日本橋 スクリーン5 F列

クリムゾンピーク

Crimson Peak(2015 Guillermo del Toro 東宝東和2016)

http://www.imdb.com/title/tt2554274/

image
image

ほとんど同じですね。コピーなんか変だけど。特に白い方。そういう話だっけ?

とにかくパフスリーブ!

image

ネタバレしないように書くのが不可能笑なので、鑑賞後に読んでくださいませ。

わたしはもともとびっくりするものに非常に弱く、また痛そうなものも苦手なためホラーとかあんまり自発的に見る方じゃないんですけど、デルトロの美意識みたいなものは大変好きなので(グロいのは別)どうしようかなーと悩んでいたのですが、ホラーというよりはゴシックに重きを置いているらしいと聞いたので、勇気を振り絞って(大げさ)観に行きましたよ。

鑑賞記念で小さいクリアファイルとカードをもらいましたね。カードはヒドルストンでした。


オープニングからすでに赤い。クリムゾンです。そして、いきなりのイーディス・カッシング(ミア・ワシコウスカ)の勝利宣言から始まります。蒼白の顔に切り傷、白の寝間着の裾は赤く染まり、手も血に染まっていました。

画面の転換の時に暗転するんですがそのときにキーアイテムに向かって縮んでいく(これなんか名前ついてるのかな?)んですよね。これがちょっとクラシックな雰囲気をいや増してた。

最初の方のイーディスの母の幽霊がとっても怖いんです。母なのに。それに比べたら、そのあとたくさん出てくる赤い幽霊はそれほどでもないです。怖がりながらもなぜ幽霊小説を書くのか、イーディスよ。それから、このときの子役とワシコウスカの顔の配置とかちゃんと同じになってて最近はちゃんと選んでくるよね…と感心した。

イーディスのことをちょっといいなーって思っているアラン・マクマイケル(チャーリー・ハナム)は眼科医で、実家もお金持ちそう。それにイーディスの幽霊趣味?にも付き合ってあげてる。

イーディスだってお父さんは会社を持っていてお金持ち。そこに技術を売り込みに来た準公爵のトーマス・シャープ(トム・ヒドルストン)がいきなりイーディスの小説を褒めるあたりもういかにも胡散臭い感じでね。イーディスはそこですでに気がつくんだけど、トーマスは着ているものは綺麗にしているけど古いものなんですよね。つまり貧乏。

image

イーディスを無理やりパーティに連れ出し(このときのイーディスのドレスがすごく綺麗)しかも、嫌がるのも気に留めずワルツを踊るんですけど、ロウソクが消えないように優雅に踊るんですよ。これがね、実に優雅なんです。いかにも上流階級風に。それで、ちょっとイーディスもポーっとなってしまう。この辺り性急な感じもしないことはないけど、そんなもんか。

そこからのシャープきょうだいの手練手管というのかそういうのがね、すごいのね。そこで、もっと裏があるのかと深読みしてしまった…その、ヴァンパイアとか、そういう感じに。だって、蝶と蛾の話のときに蛾は何を食べるのかと聞かれて、蛾は蝶を食べると返してたから。これ、比喩だったのね。結局そういう完全オカルトではなくて、殺人とか詐欺のような事件性のあることだったんだけども。

そこからのアラデールホールが圧巻でした。これね、セットなんですよね。すごいなこれを建てちゃったのか…。スパイクスタッズが囲むホールウェイ、屋根が抜けてて落ち葉や雪が降ってくるところ、暖炉、蛾!壁にかかった肖像画、グランドピアノ、グリーンの壁!この作品の主人公はもしかしたら、この屋敷かもしれんね。

image
image

それから衣装ですね。特にイーディスの衣装が素敵。これゴスっ子だったらたまらないでしょう?こういう寝間着で寝たいでしょう。そんで、この衣装がワシコウスカによく似合う。

image

どんどん体が弱っていくイーディスと徐々に正体を現すきょうだい。姉のルシール(ジェシカ・チャスティン)は最初からなんとなく冷たくて意地悪な感じがしているんだけど、途中から全開になるんですよ。いやーこわいこわい。幽霊的な恐ろしさより、この人の方が実際こわいです。この人の凶暴性みたいなのが突如発揮されるのすげーこわい。

熱々の鍋を投げてくるところめっちゃ怖かったな…。

image

それから案外ヘタレなトーマス。ヘタレというかお姉ちゃんに逆らえないという感じなのかな…。でも、最後は…みたいな。今まで本当に人を愛したことがなかったけれどイーディスのことは本当に愛してしまったのかも。

一連の事件を訝しがっていたアランは独自に調査をして、イギリスまで助けにやってきます。さすが探偵小説ファン!このあたりのトーマスとアランの駆け引きというか、信頼関係みたいなものとかがちょっとよかったな。予想外だっただけに。

image

そこからの最後のバトルがどちらも強すぎた笑。幽霊が味方したというところではあるけれど、シーンが冒頭に戻る。

絶対ハナムなんか、最初の30分でいなくなるんじゃないか?と踏んでいたので嬉しい誤算でした。でも、やっぱり老けたなー老けたし顔丸くなったし…。あとすごい気になったのは、完全にアメリカ人としての役だったこと(若干イギリスかぶれ的なところもあるのかな…お家の人も結構かぶれてたし)アクセントもアメリカアクセントだったし、残念。

image

必要以上にヒドルストンの訛りがフィーチャーされてたな「米国語がしゃべれません」なんつーセリフまであったし…。ジェシカがあんまり訛ってなくなかったか?まあ、いいんだけど。

それから、ヒドルストン好きの人は尻が見れます。これはサービスだと思います。必然性はないですもん。ワシコウスカの乳の代わりだと思います笑。

image

幽霊が血が出てるところから湯気が上がるみたいにポワポワーって出てるところがなんかちょっと可愛い感じがした。全く可愛いシーンではないんだけれども。廊下を這ってくる奴は実際こわいです。


2016/1/9 TOHOシネマズ新宿 スクリーン11 I列

パンフレットは判型といい内容といい不満でした。もうちょっとビジュアル充実してるかインタビュー充実してて欲しかった…。プロダクションノート長すぎた。これ、章立てでなんとかしようとしてるけど、もうちょっといい方法があったと思う。

君が生きた証

Rudderless(2014 William H. Macy 配給ファントムフィルム2015)

image
image

なんか方向性が全然違うポスターだ。違いすぎて言葉を失うな。ポスターじゃなくてチラシなのかな…。

ウイリアムHメイシーの初監督作品ということを知ったのは見てからでした。本人はバーのマスター役で出演。

一部ですごく感動した的なことを読んでいたので、どんな感じなのか期待していましたが、私的にはそんなにぴんとこなかったけど(泣く部分として)それよりはなんかちゃんとした音楽映画だなと思ったのでした。

image

サム(ビリークラダップ=オールモストフェイマスのラッセルなのね!)の息子が銃乱射事件で亡くなり、生活は一変、広告マンから日雇いっぽいしごとへ、モダンなガラス張りの家からボートへ。息子が残した音楽をオープンマイクで披露したところ、若い男クエンティン(アントンイェルチン=スタトレのチェコフ、オンリーラヴァーズのぱしり)が一緒にやろうと声をかけてくる、断っても断ってもやってくるので、根負けして一緒にやることに。アレンジしたと思ったら、バンド構成に。あまりにウケるのでバーのレジデントになる。あまりに調子がいいのでプロを目指そうとするが…。

みたいな話です。

あるときから話が一転して、えっとなるんですけど、なんとなくもっと酷いことなのかと思っていたので、そのくらいで済んでよかったと思ったしうすうすそんな気がする…と思っていたので大丈夫でした。

image

お話的にそれほどグッとこなかったんだけれども、バンドを組んだときのベース担当がベンクウェラーで本当にびっくりしましたよ。これは知らなかったので、いい驚き。しかも、やっぱり本職だから、ステージでの輝きが違う。立ち居振る舞いが全然違う。すごいね。

音楽部分がすごくちゃんと作ってあるのは本当によかった。

最後のサムからクエンティンへの贈る言葉の部分はちょっとだけグッときたかな。

image

あとは第三者的な立場だけど要所要所でいい感じな楽器屋のおやじ(ローレンスフィッシュバーン)がよかったです。

セレーナゴメスは…いつも思うけど…演技らしい演技はしないな…。あと顔が小さいのか髪が多いのか分からないけどバランス悪い(別に嫌いなわけではありません)(ファンの人すいません)


君が生きた証(字幕版)

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

The Imitation Game(2014 Morten Tyldum 2015年日本公開 配給GAGA)

http://www.imdb.com/title/tt2084970/

image
image
image

全くなんだか分からないポスターと、ちょっとヒントがあるポスター、に対して日本は全部入りです。もう半分内容に食い込んでいる。そういうもんだと思ってみるようにお膳立てしてくれています。

アラン・チューリングというその人を知らなくてもSFファンだったのでチューリングテストのことは知っていました。質問によって相手が機械か人間かをテストするやつです。ブレードランナーの中でヴォイトカンプテストとして用途と姿(アンドロイドを判別する、虹彩を見る)を変えて使われます。

しかし、この映画でこんなに泣くとは思わなかった。

1951年、アランチューリングの家が盗難にあったのだけど、何も盗まれていないと言ったばっかりに怪しまれ、別件である同性愛者として逮捕されてしまいます。そこで、取り調べに当たった刑事(ローリーキニア=タナー@007)にチューリングが話を始めます。第二次世界大戦中、ドイツのエニグマが作り出す暗号を解くために集められた最高の頭脳集団とコンピューターの祖となるマシンのことを。

時代が戦後と戦中、それからチューリングの少年時代と前後しながら物語が進みます。

アランチューリング(ベネディクトカンバーバッチ)がものすごく頭がいいというか理路整然と考えられる人なんだけど、ちょっと人の気持ちを考えるとかいうのは下手で思いやりに欠けるところや、子供の頃に友人を失ったこと、そして最大のハンデとして同性愛者であったということが当時の彼の立場を難しくしていることとか、なんかすべてひっくるめてつらくて不憫でならなくて。アランよりも下手したら数学の才能があるジョーン(キーラナイトレイ)が少年期の友人クリストファー以来の理解者であることが判明するところで涙し、そのクリストファーの死を受け止める(受け止めてはいないけど)少年期のアランに涙し、最後の最後のシーンではもうぼろぼろに泣いておりました。最後のほうにいろいろ固め打ちするのやめてー。最後のテロップだけでも十分泣ける。

image

最高機密なので諜報機関も絡んでいまして、MI6の諜報員のミンガス(マークストロング)という人がいるんですが、この人がまたなんというか頭が切れるのでしょう、チューリングに対して絶対悪くしないんですね。途中でわー裏切られたかも?と思ったりしたけれども、そんなことはないんじゃないかと…導入部に出てくる時はきっとすでに長官クラスになっているんですよね…。

image
image

それから、最初はあまり仲がよくない同じ研究者(チェスのチャンピオン)のヒュー(マシューグード)が和解するところなんかはほんとによかったなあ…て。

暗号を解いて、それでもそのまま解読したことを知られないように緻密に活動するところなどは、本当に頭よすぎるな…。と思いました。

image

私基本的にはあんまりカンバーバッチさんは好きな方ではないんですけれども、何故か映画では結構泣かされている気がします。それにしてもこの映画、イギリス俳優のいいところを集めてきていますよねー(まさかつよしが最初に出てくるとは思わなかったもの…)本当に層が厚いなあイギリス俳優界…。

image

あとはクリストファーですよ、マシンのほうの。最初何にも定義しないで検索だけしてたら止まらないわけですよ、ループしちゃってるわけですよ、延々と検索してるんですよ。そこに定義してあげるんですよ、きっちり答えを出してきてほんとに愛おしい。10年後には4分の1くらいのサイズでもっと頭よくなっているし…今なんかみんなの手のひらにのっかっていますよ。チューリングが最初のプログラマってことなのかな?大大大先輩ですね。


イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(字幕版)

博士と彼女のセオリー

The Theory of Everything(2014年 James Marsh 日本公開2015年)

http://www.imdb.com/title/tt2980516/

image
image

感動とか希望とか書きたくなっちゃう日本のポスターと案外あおり文句がきっちり入っている海外版。素材の画像は同じですね。

去年見損ねた去年の話題作を1月のうちに見てしまおう作戦です。

まずは、ホーキング博士の伝記物としてのこちらから。最初、原題は万物の理論とかなっててちょっと物理っぽいのに、なんで日本てこっちになっちゃうのかなーこれじゃラブストーリーじゃん?と思ったら日本人正しかった。

奥さんから見たホーキング博士なので、ほとんど数式とかそういうのとか出てこないし、天才ならではのなにかみたいなものは出てきません。出てくるとしてもあんまりいいようには書かれてない。だからそもそもなんでこの人がすごい人なのかというのは説明不足になっていて、もやもやした。ホーキング博士の偉業を書こうとしたところから始まった企画なんだろうけどそのあたりが何も伝わらなかった。もしかしたら、人間としての魅力だけを描こうとしたのかもしれないけど、思ってたのと違った。

存命の人の伝記ってすごく難しいんだろうなー…。

image

スティーブ(ホーキング=エディレッドメイン)とジェーン(ホーキング=フェリシティジョーンズ)が出会ってから、博士が超有名な『ホーキング・宇宙を語る』を出すところあたりまでのお話で、いいんだ、ここまでを映画にしても本人がいいんならいいか。まあ、若干の美化があってもしょうがないか…という感じでした。

エディレッドメインはなんだろう、それこそトレース芸としては抜群にうまかったのだろうけれど、そしてトレースしているからには視線で演技とか言葉でどうにかするとかは難しかったんだろうけど、なんだろうトレース始まる前まではなんだか普通の人で、芸としてアカデミー賞を獲った気がしてならない。見た感じ嫌いじゃあないですし、悲しいところはさすがにグッときました。バスタブのとことか、背中に悲哀が出てたし。それ以外がそういうチャーミングな人だったんだよを表現するためのちょっとかわいいお茶目な男性(繁殖力も高い)一辺倒でなー…。

image

もっとずっと感動的なのかと思ったんだけど…思ったより、ふーん。っていう感じだったな、最後のステージから降りてペンを拾う想像シーンとかとってつけたようでちょっと私はぽかんとしてしまったよ。ここで急にメルヘンか。というか全体的にメルヘンぽい造りだったかもしれない。女性が過去を美化して書いているっぽい感じでどうもなじめなかった。

image

その割にフェリシティジョーンズがとても冷たい感じで演じているのが気になった。奥さん的にはこの演技でOKなのか…。ところどころチャーミングなんだけど、全体的に冷淡でなんとなく計算高い感じがして(でもなんの計算しているかは分からない)ジョナサンに対する態度ももっと心乱れる!っていう感じかと思えば最初に別れるときの態度とかすごい意志の強さみたいなものを見せているし(とはいえ酷い)

image

とはいえ、ジョナサンとのくだりはジョナサンがチャーリーコックス(=デアでビル、マット)だったので楽しめました。この人なんだか繊細な感じするのに目が熊の縫いぐるみみたいでそのギャップがかわいいですよね。それにこの役柄も天使みたいな人で、他人の旦那の介護をボランティアで本職でもないのにするとか、それがキリスト教の教えなのかもしれないができすぎではないのか…見返りも求めないし、引き際もよいし、再開してからも優しいし。

image

あと、ブライアン(ハリーロイド)もよかった。本当はどうだったのかわかんないけど必要以上に面倒見たりかわいそうがったりしないけど、要所要所にいてちゃんと分かってくれてる風だった。ハリーロイドはサッチャーの映画(アイアンレディ)のデニスの若い頃の人なのね、あのときもちょっといいなと思ってたよ。

最後のほうにスティーブも看護師のエレインと仲良くなって、結局この二組は結婚してしまうんですね(事実を確認した)なんかこの事実自体も、あっそうとなってしまう原因のような気もするけど本当なんだからしょうがない笑。


博士と彼女のセオリー (字幕版)