神様メール

Le tout nouveau testament
The Brand New Testament(2015 Jaco Van Dormael)(アスミック・エース 2016年5月27日)

http://www.imdb.com/title/tt3792960/

神様は存在する。ブリュッセルのアパートの一室に。

予告を見たら大変面白そうだったので観に行きました。最近は単館ぽい映画もシネコンでやってくれるので快適第一な私は嬉しい限りです。


神様の知られざる娘エアが、下の人たちに寿命を知らせるメールを一斉配信。自分の寿命がわかった人たちの悲喜こもごも、そして、新・新約聖書を書く使徒を18人にする(あと6人増やす)(お母さんの大好きな数だから)(お母さんは野球が好き)スカウト活動を描きます。

エアが父親への仕返しのつもりで寿命メールを送信します。エアちゃんかわいい、少女っぽさと聡明さの塩梅がちょうどいい。

神様が、こんなだらしないおっさん(娘に暴力を働いたり、妻に対してなんのリスペクトもなかったりする)だったとは、数々の試練がおっさんのいやがらせまたは、面白半分のいたずらだったとは。本当にやなヤツなんです。

だいたいこんな感じで、だらしない格好でパソコンから世の中を操作している。でも、このどこまでも続く引き出しのところはよくできててすごい。

創世記あたりのざっとした説明のところも笑えた。

JC(イエスキリスト)が普段は置物なんだけど、エアが話しかけると動き出し、わりと普通のお兄ちゃん風に色々教えてくれたりして笑える。

冷蔵庫の中が空っぽだったり、棚の中が空っぽだったりするけど、一回扉を閉めてまた開けると中がぎっしり(でも一種類しか入ってない)になったりするところが普通のお宅ではない感じだけれど、あとはずっとスポーツチャンネルがつきっぱなしのキッチンから続く居間とか、まるで普通の団地の一部屋。

JCに教えられた通り洗濯機の中に入って、下のコインランドリーからでてくるところ、エアの時は普通に出てきたんだけど、神様の時は洗剤まみれでぬるっと出てくるところがまるで出産じゃなかったか。

エアが最初に出会ったヴィクトールというホームレスを記録係として任命するのだけど、記録する人は使徒ではないのか(新約聖書のことがよくわかっていない)使徒は、エアが適当な引き出しから掴んできた書類で探すのである。

ヴィクトールに対して父性のようなものを感じてしまうエアは不憫だ。

次々と出会う新しい使徒たちと彼らによる福音書と、彼らが見る夢(奇跡)、そしてエアが聞く音楽。誰もがどこか寂しくて、どこか孤独。使徒が増えるたびに居間に飾ってあるJCの最後の晩餐の絵の中に使徒が増えていくんだけど、タッチ違いすぎるだろ、というところも含めて笑える。

使徒一人一人にエアが見せる奇跡や、エアとヴィクトールが終盤で見せる奇跡に使われるCGはかなり高度なものだったりするのだけど、それをさらっとやって過ぎていくところがハリウッド映画とは違う趣。気に入ったのは、オーレリーの左手。あれは結構長いカットだったのに退屈しなかった。

カトリーヌ ドヌーヴ!

神様がいく先々で受けるひどい扱いがなかなか笑えていい。特に教会の神父とのやりとりは最高だ。

使徒たちとエアはみんなが最後を迎えるために向かう海へと向かう。自分の最後を海で迎える人とそれをアテンドする旅行会社や葬儀屋でごった返す海辺。

そのころブリュッセルでは…。夫も子供もいなくなった部屋で、いつものルーチンをこなしつつ、オカンアートも炸裂させていたお母さんが、パソコンを強制終了(一番やったらダメなやり方だけど笑)したことで、このあと色々起きるんだけど、これが痛快すぎた。

あと、所々で出てくるケヴィンが「寿命までは何をしても死なない」からってお試しするシーンがちょいちょい笑わせてくれたけど、最後のシーンは意味深である。


2016/5/27 TOHOシネマズ新宿 スクリーン4 E列

パンフレット720円