リリーのすべて

The Danish Girl(2015 Tom Hooper
東宝東和(2016年3月18日)

http://www.imdb.com/title/tt0810819/

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ほとんど同じなんですね。本国版には別の画像バージョンもあるけど、これがいいかな。

すごくデリケートな題材だからなあ…微妙だなあ…と思いながら書いていると思って読んでください。気付かぬうちにネタバレもしていると思います。


アリシア ヴィカンダーがアカデミー賞(助演女優)を獲りましたけど、どんなもんかなーっていう気持ちも半分あったんですよ。これ、物語の主役は確かにリリーであるエディ レッドメインなんだけど、映画で描いているのはゲルダ(アリシア)ですよね。

エディって、ちょっと少年ぽさが残っているし、体系的にも細身だから最初に出てきた時のは中性ぽさより少年ぽさを感じた。高いカラーのシャツもお似合いだけど、これは元々そういう服を着てたのか、首のラインを出さないための衣装さんの工夫なのか。女装し始めてからはちょっとジェシカ チャスティンぽさを感じる。この首から肩にかけてのラインとか、すごく意識して撮られていたなあ。

最初は、二人とも普通にラブラブさがあるし、あれ?って思ってた。もっと最初から自分の性別に関する疑問がある人なのかと思ってたから。

女性の服に触れることで目覚めていく時の自分でもわからない感覚の表現とか、それに目覚めてから止められない気持ち…のような鏡の前のシーンは驚いた。あれ、この映画R18指定だったか?と思った。頑張ればモザイクとかぼかしとかかけないで上映できるんじゃない!R15だったけど…(調べたら、日本だと15歳以下は絶対見られないのね)

ナイトドレス着てるところのシーンはエロかった。このシーン、ゲルダをアリシアがやっているから若干健康的な雰囲気があってあんまり思わないけど、ものすごく倒錯的なシーンだと思っていて、もっと倒錯的な雰囲気が出る女優さんでも良かったのかなーという気もしないこともない。誰って思いつかないけど。アーティストだし、この倒錯的な部分を受け入れているところがあるのかなあって。

最初は面白がっているゲルダだけど、そのうち本気なんだなあ…っていうのがわかってきてから、どんどん辛くなっていくんだけど。つまり倒錯的なだけではない本当に置いていかれるなんて、最初ゲルダの中にはなくて、楽観視してたと思う。

ゲルダとしてはアイナーのことを諦めきれないんだけど、だけど、どうにもならない、走り出した物(リリーの気持ち)を止められないっていうところが本当に不憫でならず、ポロポロと泣いてしまった。ゲルダの切なさみたいなのに説得力があるんだよなあ…こういうところはアリシアで良かったと思う。旦那が身勝手で辛いとか、献身する姿が美しくてとか、そういう涙ではないです。なんだろう、思いが伝わらない伝わってはいるけどどうにもならないっていうところか。

でも、ゲルダにはハンス(マティアス スーナールツ)がいるからね。ハンス、素敵だったわー、包容力がありそうで。どこかで見たことあるのに思い出せなくてモヤモヤしてたら、The Drop(日本では華麗にDVDスルー)に出てたのね…。こんなに厚みのある感じだと思ってなかったな…。

でも、ハンスではダメなんだろうなあ…頼ることはしたとしても、ハンスのことを好きになるかっていうとそうでもなさそう(現実はどちらも配偶者を迎えたそうです)(ハンスではないみたい?)(というか、この映画は相当脚色されているらしい)

エディは「彼女と博士のセオリー」でも、献身的につくす妻(でもそこはかとなく冷たかったけど)を持っている役だったけど、結局この作品も、女性になったにしろ何にしろ、献身的につくす嫁がいたんですよねー。

でも、観ている間はあんまりそんな風に思わなかったのは、やっぱりリリーが女の人に見えてきてたっていうところかもしれないなあ…。

ワンコ可愛かったね。

ゲイであるヘンリック(ベン ウィショー)が、性転換しちゃったら(アイナーじゃなかったら)興味なくなっちゃった…っていう風なところがちょっとニヤニヤしてしまった(すいません)

随分と現実とは違う話になっているようで、婚姻が無効になってからはそれぞれパートナーがいるんですねー。そういう話じゃあ映画にならないか。とにかくドラマチックなストーリーになっているんですよね。

言われているように、変なアングルが多かったとか、アップ多用しすぎとか、心情語りすぎとか全然思わなくて…節穴なのか…と不安ですが。クロースアップは基本的に好きだからな…マクロ的な映像とか。逆に、カンヴァスの裏から写しながら寄っていくとか、結構好きだった。美術がねー、良かったよね。アールヌーヴォーなんですよね、アールヌーヴォーのパリとか憧れるわー…とか思ってました。あのアパルトマンとかすごく素敵。カーテン!ゲルダのいつも来ている襦袢みたいな羽織みたいなのも良かったわ…。美術はEve Stewartていうひとでした。

劇中では本物の絵は使えなかったそうです。個人コレクションで高すぎて…。にしても、劇中の絵の雰囲気はレンピッカぽすぎる。もっとミュシャっぽいんじゃないのかな…。

撮影監督はDanny Cohen、ずっとトム フーパーと組んでる人らしい。クロースアップとか煽りとかはこの人の癖なのそれともフーパーが好きなの?

サンクスにはトランスジェンダーの方たちの名前と思わしきものが…と思ったら、ラナ ウォシャウスキーの名前も。ジュピターの時にすでにエディはリリーをやることが決まっていた、だから、弟(妹)もリリーなんだとか…。リリーの名前も欲しかったところか…。

音楽は、ハープが気になる管弦楽でした。優しい感じ。なんとなくキャロルの音楽を思い出してたけど、時代感のある音楽は流れなかったからなあ…(あってもこの時代の音楽はわからない)


2016/03/19 TOHOシネマズ新宿 スクリーン9  I列
パンフレットは副読本としてあるといいのかもしれないけど、うっすらです。
情報としてはこことかも詳しい。